6世代を終えて

-初心者卒業のためのチェックリスト-

前書き

自分がポケモンを始めたのはORAS・S9の頃で、S13~14頃にようやく初心者を卒業できたという感覚があります。普通に楽しく遊んだS9、たまたま割と勝てたせいでポケモンに完全にハマってしまったS10の後のS11~13でなぜ勝てないのか、なぜ上に行けないのが真剣に悩み、かといって何か参考になる文章にも出会えず、非常に苦しい思いをしました(この辺の経緯は6世代振り返りに載せています)。

もちろん今も、初心者こそ卒業したものの上位に行けずに苦しんでいるのは同じですが、初心者だった頃の絶望的ともいえる閉塞感に苛まれているわけではありません。少なくとも、当時壁となっていたものを乗り越え、その先から何らかのアドバイスができるところまでは来たと感じています。そこで、当時の自分の参考になったであろう文章を今書くことで、同じように苦しんでいる方々や、あるいは7世代から参入する人たちの助けになればと考えました。最終的にはかなり突っ込んだ話をするので、同時に自分なりの6世代総括にしたいという思惑もあります(本当はS17構築記事か振り返りあたりで書きたかったのですが頓挫してしまったので)。

ORAS最終シーズンが終わりPGLも停止となってしまうこの時期に6世代についての議論をするのは不毛な感もありますが、なるべく7世代でも通用するような内容にしようと思います。読者としては「個体用意~構築作成などは一通り行えるが、いまいちスッキリ勝てず苦しんでいる」という層を想定しています。ORASレートで言えば1600くらいから2050くらいまで入るかもしれません(数字はかなり適当、全部初心者で括るのは無理があるかも)。構築やプレイングとどう向き合っていけばいいかを、当時の自分に欠けていたポイントを整理するような形で考えていきたいと思います。

なお、「努力値や厳選などの基礎知識がない」というレベルの方には、本ページではなく とと&くぼじのレート初心者講座!(外部リンク:とと さん ) がオススメです。個体用意~構築作成~実際にレートに潜るくらいまでのよき道標になることと思います。

ちなみに、なぜこのような文章を今回書こうかと思ってしまったかというと、twitterのタイムラインに偶然流れてきた「初心者向けアドバイス」的なブログ記事をいくつか読み、当時感じていた、「初心者の自分が求めている内容を書いた文章になかなか出会えない」不満を思い出したからです。 「自分はレート**00まで行けました!」アピール以上の内容でないパターンは論外(ただ一定数あって本当に邪魔)として、 有用なアドバイスをしているように見える記事であっても「結局、なぜこの人は勝てたのか?」「逆になぜ自分は勝てないのか?」という最も知りたい疑問に具体的に答えてくれていることはそう多くないです。 結局、一行で表すと「たくさん勉強して、まじめに考えて、集中して潜りまくるしかない」で終わってしまう内容なのは本ページも同じですが、 具体的にそれがどういうことなのか、そこで何を考えているのかをチェックリストという形で示していけたらと思います。 ただ、筆者自身の実力と筆力がアレなので、書いてあることに怪しい~間違っている考え方もあることが予想されますので、予めご了承ください(というか逆にちゃんとつよい人たちにポケモン教えてほしい)。

§1. 構築には試合展開が織り込み済みであることを理解しているか

安定して勝つためには強い構築とプレイングが必要だというのは世の中のコンセンサスになっています。 勝てなくて悩んでいる人に対して、「(初心者が強い構築を作れるわけがないのだから)強い人の構築を丸パクリしろ」および「強い人の動画を見てプレイングの参考にしろ」 などのアドバイスが一般的にはなされているようです。 これらの発言自体は全く間違っていないのですが、根本的な解決を促せるとは自分には思えません。 これら単品ではアドバイスとして何かを言っていることにはならないということです。 強い構築をパクれば「使っている構築が弱い(から勝てない)」という問題はクリアできたことになり、その構築で潜ること自体はそれだけで勉強になるので、 どんどんやっていっていいことだと思います。 しかし、その構築が何を意図して作られたかというのは、漠然と使っているだけではなかなか見えて来ないものです(すぐわかるというならもう初心者卒業でしょう)。

構築作成段階で考えるのは、「XYZという並びに対して、こちらはABCと選出し、甲乙丙と動いて勝つ」といったような勝利までのルートを、いかに明確に、いかに広範囲に仕込んでいくかだと今の自分は考えているのですが、 動かし方まで織り込んで構築を作成する以上、構築と、選出を含めたプレイングを独立に扱うことはできません。 従って、強い構築をパクってくるとしても、ある程度構築の成り立ちのようなものが理解できないと、どのような試合運びをすればいいのか指針のないまま戦うことになり、結果強いはずの構築でもなかなか勝てないということになります。 これはプレイングの範疇というよりも、実際の試合の前に予め考えておくことだというのが持論です。 身近な例を出すとすれば、「相手は厨パ(※ガルーラガブリアス化身ボルトロススイクンバシャーモゲンガー)か~~、うーんどうしようかな」などと毎回選出画面で悩んでいるようでは相当まずい、というような感じでしょうか。 なお、新しい構築でも経験や知識、理論に基づいてその場で展開を見通せる人もいるのでしょうが、もちろん初心者には含みません。

他人の構築を使う場合は、どのような並びに対してどう試合を進めれば良いのかブログのコメント欄やtwitterなどで構築作成者に直接聞くというのが最も効率的だと思います。 考えたり実際に使ってみたが答えが出ず困っているという状況なら、もうさっさと聞いてしまうべきです。

構築を自作する場合については§2・3で述べますが、他人の構築を使う場合でも、構築の作成がどのように行われているかおよびどのような知識が必要になるかを知ることは対戦において(いわゆるプレイングを洗練させる意味でも)本質的に重要です。 一方で、全ての並び・全ての状況を想定して構築に織り込むことなど不可能であり、想定からこぼれた未知の状況に対応する際に勝敗を分けるのがプレイングです。こちらは§4・5で扱います。

§2. 試合展開を見越した構築が作れるか

内容的には§1.と同じようなことを書きますが、実際の構築作成において試合展開を考えるとはどのようなことか具体的に説明していきます。 まず例として(なぜか初心者に勧められることが多い)サイクル系の構築を作ることを考えてみます。

組み始めとしてメガボーマンダと、マンダが呼ぶ電気一般に強いチョッキマンムーをセットで採用
→ロトムが面倒でゲンガー耐性も欲しいのでスカーフサザンドラを採用
→一貫しているフェアリーと、ついでにキノガッサ耐性のある防塵ゴーグルギルガルドを採用
→相手の飛行打点と特殊AT全般が厳しいので鬼火アローや毒羽マンダ対策にもなるラムバンギラスを採用
→ここまでで薄いガブや、場合によってはガルーラを受け、展開阻害もできるゴツメエアームドを採用

まだ技や調整を詰めていないものの、一応構築が完成しました。見た目的にも問題はなさそう。 しかし、はっきり言って、このような組み方で勝てる人は一部の天才だけだと思います。 構築作成段階で想定している状況があまりにも単線思考(特にまずいのがタイプ受けした後どうアドを回収するかを一切考えていないこと)であるため、実際の試合におけるプレイングの負担が多すぎるからです。 サイクルを突き詰めて詰ませに特化した受けループですら、ただ物理にヤドラン特殊にラッキーを投げているだけではまともな相手にはなかなか勝てないのですから、 受けループほどの耐久指数のないポケモンで、勝ち筋を明確にせずにサイクルを回そうとすることは非常に苦しいものだと思います。

余談ですが、「初心者はまずサイクル系構築を使おう」という言説をよく見かけます。 初心者の中でもどういう層へのアドバイスかにもよるのですが、本論で対象とするような「色々勉強してはみたもののいまいち勝てずに困っている」人たちに対するアドバイスとしてはあまりいいものとは思いません。 不利対面を取っても引き先がいるというサイクル系構築の性質は、確かに安心感のあるものですし、なんとなく「ポケモンバトルをやっている」充実感があります。 「サイクル系構築は初心者には(選出にしろ立ち回りにしろ、基本的には後投げできる枠を選ぶだけだから)扱いやすい」という根拠はもっともらしく聞こえます。 だからオススメというのは心情的にはわからないではないのですが、勝利に必要になるのは試合展開を構築段階~選出画面~技選択で逐一シミュレーションして勝ち筋や負け筋を理解することであり、扱いやすさに甘えることではありません。 漠然と受け回しているうちにそのうち勝てるだろうという誤った認識を植え付けがちという点で、根拠なくサイクル構築を勧めるのは有害な可能性があるというのが私見です。 ちなみに、勘違いして欲しくないのですが、サイクル系構築では勝てないという主張ではありません(少なくとも本論の目標たる初心者卒業に際し不足となることはないはず、最上位でどうかについてはもっとつよい人に聞いてください)。

本題に戻ります。ここでの問題は、どのような勝ち筋を取るのか、構築段階で大して考えていないと種々の構築に対してどう動くべきか見えて来にくく、曖昧に勝ったり負けたりを繰り返して得るものが少ないということです。 それはサイクルだろうと対面だろうと何も変わらないことのはず。 では勝ち筋を明確にするとは一体どういうことなのでしょうか。 筆者の構築の引き出しが少ないため筆者自身の構築(S15使用構築 まひるみブレイズバトン)で説明してしまいます。あまり良い例ではないですが許してください。

組み始めはガルーラ・ゲンガーに対面で勝て、炎格の範囲で殴っていけるメガバシャーモ。メインとなる崩しの経路として(鬼火、毒、剣舞、役割破壊技などがある中で)今回はバトンを選択。 構築作成の際まず考えたのは当時多かった「ガルーラガブリアスゲンガークレセリアヒードランキノガッサ」のようなパーティへの対策。 初手でバシャーモを出し、ガルーラゲンガーヒードランキノガッサならそのまま殴る(キノガッサには眠らされるが、この振り方では基本的に殴り勝てる)。 ガブリアスと対面してしまった際には引き先が必要で、バトンときわめて相性が良くガブ以外にもマリルリやランドロスあたりに後投げできるゴツメトゲキッスを採用。 バシャで有利対面を取った場合、一匹処理した後ガブリアスもしくはクレセリアが出て来る。 クレセリアに対してほぼノーリスクでバトン先にでき、そのまま剣舞を積んで崩しにかかれるドリュウズを採用。 クレセからガルーラあたりに釣られた場合はバトン先をキッスにすれば良い。 ドリュウズ-クレセリア対面を作った際に考えられるのは、クレセが殴ってくること、起点にされるとまずいので襷ガッサ、襷ガブ、スカガブ、あるいはガルーラが出て来ること。 クレセに一発もらっても構わないのでとりあえずドリュは一発地震を撃ち込む。クレセが居座っても状況はほぼ変わらないので次は剣舞を押すこととし、交代で出てきたポケモンにはいいダメージが入る。 バトンでもらった加速が何段階目かやガルーラのHPの削れ具合に合わせて引く・引かないの判断をする(ガッサにはマッパで縛られるのでバシャかキッスに引く)。 このサイクル1or2回でバシャもしくはドリュが通って勝ち。不利対面ケアのためにキッスを場に出すとドランに身代わりを置かれたりするので注意して扱い、ガブの型によってはバシャ釣りも想定しておく。 次に考えるのは「ガルーラガブリアスボルトロススイクンバシャーモゲンガー」のようなパーティへの対策で…… (以下略)

ポイントは「ガルーラを倒せる駒を入れた」「ガブリアスに後出しから勝てる駒を採用した」ではなく、(本構築で実現できているかはさておき)「○○を倒せる駒で○○を処理or引かせた後に出て来る××をどうするか?」といったような、試合展開上のある局面に対する回答を作り続けようとすること。 こういう組み方は環境が進んだからできることでもありますが、特定の並びを崩す動きの数をどんどん増やして行けば、「この並びのパーティにしか勝てない」というようなことはなくなります。 この構築自体はかなりメタの効いた作りをしており、そういう意味でも例として適切かどうかは怪しいのですが、過剰なメタを張らない場合でも試合展開を徹底的にシミュレーションするのは同じはずです。 そこに実戦からのフィードバックを加えて構築は洗練されていきます。

ここのサイトに転がっている初期(S10-12くらい)の構築を見てみると、何も考えてなさそうなものがごろごろ出てきます。 自分の場合、展開を構築段階で真面目に考えるようになったらレートも伸びたので、本論の中ではこれが一番言いたかったことになります。

ちなみに、§1.でもふれた通り、全ての状況を予見して対応可能な構築を作ることはできないからこそ、プレイングが、使用者の力が活きてきます。 ここでの主張と矛盾するようですが、勝つことができるならば構築の完成度は問題になりません。 つまり、想定しておくべき処理ルートとか展開というようなものは、他人からしてめちゃくちゃなものであっても、それが自分のプレイングで通るものならば成立するということです。 この点については§5.でふれます。

脇道に逸れましたが、「試合展開を織り込んで構築を作るべし」ということは十分伝わったと思います。 しかし、上の例を見ればわかる通り、実際に構築を作る過程はまるで難しいパズルを解いていくようなもので、かなり大変です。 このパズルを解くこと自体の難しさを軽減する方法は慣れ以外にありません。強いて言うならスペックが高いポケモンを使うことでしょうか。 パズルのピースになるのは対戦に関する知識そのものなので、こちらをなんとかしないとパズルを解く段階にすらいけません。ということで次項§3.では必要な知識について触れます。

§3. 対戦に関する知識は不足していないか

6世代の構築を大きく3つに分類すると「サイクル・対面・積み」になると言われています。 実際には完全なサイクルとか完全な対面といった構築はほぼなく、サイクル+積み、対面+積みといった複合的なものになり、そこにさらに味付け(攻撃的、防御的etc)や各種のギミック(バトン、トリル、壁etc)が加わります。 具体的な構築としてどのようなものがあるのか網羅的に知りたい場合はギミック別構築まとめ -第6世代ポケモンシングルレート-(外部リンク:迅 さん )を参照すると良いと思います。 本項では、こういった構築すべての作り方、あるいはメタり方を解説するようなことはしません(キリがないしその能力もないので。) 「これらのうちこれくらい抑えておけば安心」という基準のようなものはないですし、「とにかくいろいろな構築記事や単体考察を読んで勉強しましょう」としか言いようがないのですが、 何も方針を示さないのも不誠実なので、具体的にどういう知識をどういう形で備えていけばいいのかについて、一つの例を挙げて考えてみます。

今回は、カバルドン(HDオボン,あくび,ステルスロック,ふきとばし,がんせきふうじ)によるステロあくび展開への対処法を考えてみます。 ステロを撒いたあとあくびで交代を促し削りを入れ、カバルドンをそのまま倒すとあくびの効果で眠ってしまい、裏の起点になってしまう、いわゆる「あくびループ」から抜け出すための行動を、いくつ思いつきますか? 自分が今思いついたのは以下のような対策です。

挑発(+ラムorカゴだと後投げにも対応)
拘りトリック
適当に削った後ラムorカゴ持ちで倒す
確1(メガカメックス、眼鏡水ロトムなど)・怯ませて実質確1(トゲキッスくらい)
しんぴのまもり
マジックコート
さわぐ
ミストフィールド
エレキフィールド
どくだま/どくどくだま/かえんだま持ち(+ポイズンヒール、根性など)
特性マジックミラー・ふみん
(身代わり)+アンコール
とんぼがえり、(後攻)バトン・すてゼリフ
自主退場技(大爆発、自爆、呪い、おきみやげ)
混乱自傷待ち(いばるorあやしいひかり)・麻痺痺れ待ち(入れられるのはジャロくらい)
眠り(ガッサやバレルの胞子、珍しいところだと猫の手胞子やダクホとか、素催眠も)
スリップダメージ(毒、火傷、宿り木、呪い)+α(スリップで落として眠るターンをズラし電磁波などの起点回避)
カバを落とさずこちらを寝かせる(起点回避上の最終手段)
寝言・いびき(ほぼ意味はない、詳しくは後述)

状況を詳しく書いていないのと微妙に重複していそうなのとでちょっと収拾がついてない感がありますが、だいたいこんな感じでしょうか(まだまだ他にもありそう)。 「あくびループからの積み」という戦術がある、ということを漠然と知っているだけではダメで、どう対策するか、 あるいは自分で使う場合は対策をどうケアしていくかまでなるべく広範囲に勉強しておく必要があるということです。まあ、当たり前ですね。

ただ、この例の場合やっていることがHDカバルドン単体に対する考察だけであり、試合展開を見越した構築作成にはまだ不十分です(必要条件であることは間違いないですが)。 実際には「カバガルゲッコウガ」「カバルカイリュー」「カバリザXorY」「カバドリ」などの並びに対して、カバルドンを対策しつつ同時に採用されやすいポケモンにも対応する駒もしくは並びは何か、という形で理解しておく必要があります。 上に挙げた例の中で、対策として使えないものが出てくることがわかるでしょう(寝言はかなり怪しい、いびきもスキン持ちですら低火力ゆえ結局起点、眼鏡ロトムなどもカイリューの起点、ステロ後だとトリックは間に合わないetc)。 さらに、実際にはカバルドンが起点作成の型ではない(削り性能の上がる毒持ち、ほぼ事故だが帯や鉢巻などでアタッカーなど)場合もあります。 こちらにも対応できることが望ましいのは言うまでもないことです。 構築作成というパズルのピースになれるのは残ったものだけということになります。

種々の並びに対し対策のパーツを一から考えるのは面白くタメにもなりますが、自分ひとりで考えていると必然的に漏れが出てきますし、何より時間がかかります。 そこで頼りになるのが巷に出回る構築記事や単体考察というわけです。 完成された形が提示されており、詳しい解説がついているものもあります(たとえば自分は大爆発での起点回避などはある構築記事を読んで初めて知りました)。 繰り返しになりますが、とにかく「主要なポケモンおよび並びの処理ルートとしてどのようなものがあるか」「各種ギミックとその取り巻きに対する展開阻害にはどのようなものがあるか」など、目的意識を持って勉強するしかないですね。

ところで、結局どんなパーティーをメタれば一番勝率が上がるのかについて全くふれてきませんでした。 要するに環境についての知識をつけるには具体的にどうすればいいのかという話です。 これについては、残念ながらなかなかいい方法を提示できないというのが現状です。 前季の構築を元にするならORASシングル構築記事まとめ(外部リンク:滝沢 さん )の上位を眺めればいいのですが、シーズンを1つまたぐだけでかなり環境が変わってしまいます。 それでも強い要素を持った並びは生き残り続けるので、そちらをメタるのは正解に近いとは思います。 しかし、「今季はれいビガルーラが多いからHBゴツメカバは厳しめ」「ウルガモスが増えることが予想されるので鉢巻カイリューを採用しやすい」というような情報(?)をどこで得るのかというと、 強者たちのコミュニティに接近するか、上位で潜りまくるかくらいしか思いつきません。 もちろん自分のいるレート帯のことなら潜ればわかることですが、ゴール地点から離れたレートで環境調査とメタ調整を繰り返すのはやや非効率に見えます(ただしそれはそれで意味のあることです)。 環境を知るという方向性を諦めて読むことを考えてみても、自分で環境を読む力をどう手に入れるかは、少なくとも自分は定まった答えには辿り着けていません。なかなか難しいものです。

さて、以上§1~3で、試合展開まで構築段階で考えておこうということを繰り返し主張してきました。 おそらくこれは
「言葉を弄してゴチャゴチャほざいてるけど、結局どんな構築を使えばいいんだ。これを読む限り一から自作するのは面倒だしそんな自信もない。 自分にも試合展開を想像して動かしやすい構築っていうのは一体滝ポケのどこに載ってるんだよ」
という疑問に答えるものではないと思います。 本論の意図からすればこの手の質問はナンセンスと言わざるを得ませんが、あえて答えるとすれば、前季上位(基本的に2200以上、構築のバリエーションが気になるならせいぜい最終100位以内か)で、運用方法について詳しく書いてある構築であれば何でもいいと思います。 既にそうしているのに勝てないから困っているという場合は§1~3に立ち戻ってみて下さい。 どういう並びにどう選出してどう動くか、思考実験するなり、実戦で確認するなりで詰める作業を避けて通ることはできないはず。 そこで何度考えても何百戦回しても作成者に聞いても運用方法を理解できなかった場合はまた別の構築を使えばいいだけです。 知識面が甘いせいで理解できないとか慣れるまでの試合数に全然足りていないのに手放してしまうというのは論外ですが、 仕込まれた展開が作成者本人のプレイングでしか引き出せないようなことは十分考えられます(要するに本人しか使えない構築のパターン、おそらく結構ある)。 色々試すこと自体で視野が広がりますし、そうしているうちに展開が見えるようになる構築もあるかもしれません。 あるいは自分で作ってみようということになるかもしれません。何にせよ結局は深く考えた上で試行錯誤するしかないのです。

§4. 絶対的正解択を見逃していないか

ここからは構築には織り込まれていない種類のプレイングについて考えていきます。 上位のプレイングについて、強気の読み行動とか選出予想を的中させることなどを想像する方がいるかもしれません。 それらも強さの一側面ではありますが、全てではありません。 本項では、まずおそらく最も理論的に説明しやすい「絶対的な正解の存在する場面」でのプレイングについてまず述べていきたいと思います。

まずは次の例をご覧ください。
どうでもいい択ゲー(外部リンク:あいぎすぽけ さん )
リンク先で解説されている通りですが、マリルリ側は当該ターンでアクジェor滝登りのうち、滝登りを選ぶのが正解。 相手が取る択と、それに対する自分の行動の結果がどうなるかしっかり認識して立ち回れるか、視野狭窄に陥っていないか常に気を付けるべきだとわかる好例だと思います。

別の例。
お互いラス1、こちらヒートロトム(身代わり展開済,ほうでん,あやしいひかり,おにび,みがわり)-相手メガギャラドス(HP満タン,じしん)。 放電でギャラに55%前後のダメージが入り(つまり確2)、Sラインはギャラの方が上とする。ヒートロトム側の正解は何か1分(技選択時間)以内で答えよ。

火傷2回+放電では倒せないので、 ここでの勝ち筋は
「放電→ギャラ麻痺→放電」
「あやぴか→ギャラ混乱→ギャラ自傷→放電→ギャラ麻痺→放電」
「あやぴか→ギャラ混乱→ギャラ自傷→放電→ギャラ自傷→放電」
のいずれかとなります。 択は一か所で、最初のターンで放電かあやぴかを選ぶだけです。 放電の場合は、勝つ確率は放電麻痺の確率そのままの30%で、 あやぴかの場合は、「自傷→放電麻痺」15%+「自傷→放電麻痺しない→混乱解けない→自傷」約13%=約28%です。 ということで初手放電が正解。1分以内に答えられましたでしょうか? 確率が絡んで来ても話は同じで、種々の択が存在することをまず認識し、結果勝つ確率が最も高くなるように行動するだけです。言葉で書くと当たり前のことですが、割とレートが上がってきてもここが甘い人が自分も含めゴマンといるんですよね。

いずれも相手の行動に依らず、もしくは相手の全ての行動を考慮しても正解があるという、詰め将棋的なものであり例示するにもキリがないのでこの辺でやめておきます。 ここでポイントとなるのは、漫然と試合をこなすよりは、絶対的な正解を見逃していなかったかどうかを検討するべきだということです。 同じような局面が訪れた時にミスする心配がなくなりますし、毎回しっかり考えるクセがついていればその場で正解を選べるようになっていくはずです。 相手の択とのじゃんけん的状況にもつれ込まずに唯一つの正解が存在するケースは実際には少ないですが、ここでミスするのとしないのとでは戦果が違ってくることでしょう。

なお、示した例からして気付いている方も多いと思いますが、このような絶対的な正解の存在する場面というのは、多くの場合試合の終盤に限定されます(だからこそ試合終盤は即決を控え、それまで以上によく考えてから行動すべき)。 それ以外においては、基本的に全てがファジーであり、正解などないということを次の項で説明します。

§5.勝つためのプレイングができているか

綿密なシミュレーションを元に構築を組んだはいいものの、もちろん世の中アマくはなくて、思った通りにはいかないわけです。 実際のポケモンバトルは想定外の状況の連続です。そこで明暗を分けるのがプレイング、だからこそ面白い。自分は色々よわっちくてボロボロ負けますけどね。 ということで自分自身はまだここに言及できるレベルには全く達していないのですが、一応現時点で考えていることをまとめてみます。

こちらの記事をご覧ください。
感覚派プレイヤー思案する『キノガッサは何故フシギバナに岩石封じを撃つのか』(外部リンク:kame さん)
ポケモンが「対人ゲームである」ことを考慮した時にリスクリターンの評価はどのようなものになってくるかについて非常に参考になる考察です。 この例は試合中盤の局面ですが、1ターン目から同じようなことは起こっています。 裏にクレセリアあたりが控えているメガ前ルカリオ-ガブ対面でガブのステロや剣舞を読んで殴りに行くルカリオあたりもその一例かもしれません。

これらのような一見不合理な行動でも、何らかの経験や感覚に従い驚くべき精度で通してしまう人達が一定数存在します。 当然ながら、これらのような行動を通してアドを取ることが構築段階で組み込まれているわけがありません。 しかし、§2.でも少し触れた通り、勝利は全てに優先します。 §1~3での主張と矛盾するようですが、本当に上を目指すならば、構築の運用について、頭でっかちになってしまうのは無意味なことだと思うのです。 これらのような状況が頻繁に発生し、それで毎回強気な行動が通ればそのままで何も問題はなく、 一方全く通らずレートが溶けていくようなら、それは「プレイングで補えるレベルの構築ではない」と判断し、構築作成に戻ればいいだけのことです。

後書き

初心者卒業のためのチェックリストは以上となります。概ね言いたいことは「試合展開をしっかりシミュレーションしろ」に集約されます。§5.については筆者自身明確な答えがまだ出せておらず、また§1~4にしっかり取り組めば初心者卒業に際し不足となるようなことはないと考えているため、蛇足だったかもしれません。

§4.を除き、「切れにくい回線を使おう」「相手のパーティをメモしよう」というような100%正しくて確実に効果のある事項にはあえてふれていません(そんな当然のことはわかった上で「勝てなくて困っている」人の方が多いはずだからです)が、本当に勝てなくて苦しんでいた当時の自分が何を変えたら先の段階に進めたかについては、今の自分なりに真摯に書いたつもりです。この文章が、同じような悩みを抱えている方の一助になれたら幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。